エレミヤ書6-8 ; Ⅰテモテ5

エレミヤ書

第6章

6:1ベニヤミンの人々よ、
エルサレムの中から避難せよ。
テコアでラッパを吹き、
ベテハケレムに合図の火をあげよ。
北から災が臨み、大いなる滅びが来るからである。
6:2わたしは美しい、たおやかなシオンの娘を滅ぼす。
6:3牧者たちは、その群れをひきいて来て、
彼女を攻め、彼女の周囲に天幕を張る。
群れはおのおのその所で草を食う。
6:4「戦いを始め、彼女を攻めよ。
立て、われわれは真昼に攻撃しよう」。
「わざわいなるかな、日ははや傾き、
夕日の影は長くなった」。
6:5「立て、われわれは夜の間に攻撃しよう、
そして彼女のもろもろの宮殿を破壊しよう」。
6:6万軍の主はこう言われる、
「あなたがたは彼女の木を切り倒し、
エルサレムにむかって塁を築け。
これは罰すべき町である、そのうちにはただ圧制だけがある。
6:7井戸に新しい水がわくように
彼女はその悪を常にあらたに流す。
そのうちには暴虐と破滅とが聞える。
わたしの前に病と傷とが絶えない。
6:8エルサレムよ、戒めを受けいれよ。
さもないと、わたしはあなたから離れ、
あなたを荒れ地とし、住む人のない地とする」。
6:9万軍の主はこう言われる、
「ぶどうの残りを摘みとるように、
イスラエルの残りの民をのこらず摘み取れ。
ぶどうを摘みとる人のように、
あなたの手をふたたびその枝に伸ばせ」。
6:10わたしはだれに語り、だれを戒めて、聞かせようか。
見よ、彼らの耳は閉ざされて、聞くことができない。
見よ、彼らは主の言葉をあざけり、それを喜ばない。
6:11それゆえ、わたしの身には主の怒りが満ち、
それを忍ぶのに、うみつかれている。
「それをちまたにいる子供らと、
集まっている若い人々とに漏らせ。
夫も妻も、老いた人も、
年のひじょうに進んだ人も捕えられ、
6:12彼らの家と畑と妻とは共に他人に渡る。
わたしが手を伸ばして、
この地に住む者を撃つからである」と主は言われる。
6:13「それは彼らが、小さい者から大きい者まで、
みな不正な利をむさぼり、
また預言者から祭司にいたるまで、
みな偽りを行っているからだ。
6:14彼らは、手軽にわたしの民の傷をいやし、
平安がないのに『平安、平安』と言っている。
6:15彼らは憎むべきことをして、恥じたであろうか。
すこしも恥ずかしいとは思わず、
また恥じることを知らなかった。
それゆえ彼らは倒れる者と共に倒れる。
わたしが彼らを罰するとき、
彼らは倒れる」と主は言われる。
6:16主はこう言われる、
「あなたがたはわかれ道に立って、よく見、
いにしえの道につき、
良い道がどれかを尋ねて、その道に歩み、
そしてあなたがたの魂のために、安息を得よ。
しかし彼らは答えて、
『われわれはその道に歩まない』と言った。
6:17わたしはあなたがたの上に見張びとを立て、
『ラッパの音に気をつけよ』と言った。
しかし彼らは答えて、
『われわれは気をつけることはしない』と言った。
6:18それゆえ国々の民よ、聞け。
会衆よ、彼らにどのようなことが起るかを知れ。
6:19地よ、聞け。見よ、わたしはこの民に災をくだす。
それは彼らのたくらみの実である。
彼らがわたしの言葉に気をつけず、
わたしのおきてを捨てたからである。
6:20シバから、わたしの所に乳香が来、
遠い国から、菖蒲が来るのはなんのためか。
あなたがたの燔祭はわたしには喜ばしくなく、
あなたがたの犠牲もうれしくはない。
6:21それゆえ主はこう言われる、
『見よ、わたしはこの民の前につまずく石を置く、
人々は父も子も共にそれにつまずき、
隣り人もその友も滅びる』」。
6:22主はこう言われる、
「見よ、民が北の国から来る、
大いなる国民が地の果から興る。
6:23彼らは弓とやりをとる。
彼らは残忍で、あわれみがなく、
海のような響きを立てる。
シオンの娘よ、彼らは馬に乗り、
いくさ人のように身をよろって、
あなたを攻める」。
6:24われわれはそのうわさを聞いて、
手は弱り、子を産む女に臨むような
悩みと苦しみとに捕えられた。
6:25畑に出てはならない、
また道を歩いてはならない。
敵はつるぎを持ち、恐れが四方にあるからだ。
6:26わが民の娘よ、荒布を身にまとい、
灰の中にまろび、
ひとり子を失った時のように、悲しみ、いたく嘆け。
滅ぼす者が、にわかにわれわれを襲うからだ。
6:27「わたしはあなたを民のうちに立てて、
ためす者、試みる者とした。
あなたが彼らの道を知り、
それをためすことができるようにするためである。
6:28彼らはみな、強情な反逆者であって、
歩きまわって人をそしる。
彼らは青銅や鉄であって、みな卑しいことを行う。
6:29ふいごは激しく吹き、
鉛は火にとけて尽き、
精錬はいたずらに進む。
悪しき者がまだ除かれないからである。
6:30主が彼らを捨てられたので、
彼らは捨てられた銀と呼ばれる」。

第7章

7:1主からエレミヤに臨んだ言葉はこうである。7:2「主の家の門に立ち、その所で、この言葉をのべて言え、主を拝むために、この門をはいるユダのすべての人よ、主の言葉を聞け。7:3万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、あなたがたの道とあなたがたの行いを改めるならば、わたしはあなたがたをこの所に住まわせる。7:4あなたがたは、『これは主の神殿だ、主の神殿だ、主の神殿だ』という偽りの言葉を頼みとしてはならない。
7:5もしあなたがたが、まことに、その道と行いを改めて、互に公正を行い、7:6寄留の他国人と、みなしごと、やもめをしえたげることなく、罪のない人の血をこの所に流すことなく、また、ほかの神々に従って自ら害をまねくことをしないならば、7:7わたしはあなたがたを、わたしが昔あなたがたの先祖に与えたこの地に永遠に住まわせる。
7:8見よ、あなたがたは偽りの言葉を頼みとしているが、それはむだである。7:9あなたがたは盗み、殺し、姦淫し、偽って誓い、バアルに香をたき、あなたがたが以前には知らなかった他の神々に従いながら、7:10わたしの名をもって、となえられるこの家に来てわたしの前に立ち、『われわれは救われた』と言い、しかもすべてこれら憎むべきことを行うのは、どうしたことか。7:11わたしの名をもって、となえられるこの家が、あなたがたの目には盗賊の巣と見えるのか。わたし自身、そう見たと主は言われる。7:12わたしが初めにわたしの名を置いた場所シロへ行き、わが民イスラエルの悪のために、わたしがその場所に対して行ったことを見よ。7:13主は言われる、今あなたがたはこれらのすべてのことを行っている。またわたしはあなたがたに、しきりに語ったけれども、あなたがたは聞かず、あなたがたを呼んだけれども答えなかった。7:14それゆえわたしはシロに対して行ったように、わたしの名をもって、となえられるこの家にも行う。すなわちあなたがたが頼みとする所、わたしがあなたがたと、あなたがたの先祖に与えたこの所に行う。7:15そしてわたしは、あなたがたのすべての兄弟、すなわちエフライムのすべての子孫を捨てたように、わたしの前からあなたがたをも捨てる。
7:16あなたはこの民のために祈ってはならない。彼らのために嘆き、祈ってはならない。またわたしに、とりなしをしてはならない。わたしはあなたの求めを聞かない。7:17あなたは彼らがユダの町々と、エルサレムのちまたでしていることを見ないのか。7:18子どもらは、たきぎを集め、父たちは火をたき、女は粉をこね、パンを造ってこれを天后に供える。また彼らは他の神々の前に酒を注いで、わたしを怒らせる。7:19主は言われる、彼らが怒らせるのはわたしなのか。自分たち自身ではないのか。そして自らうろたえている。7:20それゆえ主なる神はこう言われる、見よ、わたしの怒りと憤りを、この所と、人と獣と、畑の木と、地の産物とに注ぐ。怒りは燃えて消えることがない」。
7:21万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、「あなたがたの犠牲に燔祭の物を合わせて肉を食べるがよい。7:22それはあなたがたの先祖をエジプトの地から導き出した日に、わたしは燔祭と犠牲とについて彼らに語ったこともなく、また命じたこともないからである。7:23ただわたしはこの戒めを彼らに与えて言った、『わたしの声に聞きしたがいなさい。そうすれば、わたしはあなたがたの神となり、あなたがたはわたしの民となる。わたしがあなたがたに命じるすべての道を歩んで幸を得なさい』と。7:24しかし彼らは聞き従わず、耳を傾けず、自分の悪い心の計りごとと強情にしたがって歩み、悪くなるばかりで、よくはならなかった。7:25あなたがたの先祖がエジプトの地を出た日から今日まで、わたしはわたしのしもべである預言者たちを日々彼らにつかわした。7:26しかし彼らはわたしに聞かず、耳を傾けないで強情になり、先祖たちにもまさって悪を行った。
7:27たといあなたが彼らにこのすべての言葉を語っても彼らは聞かない。また彼らを呼んでもあなたに答えない。7:28それゆえ、あなたはこう彼らに言わなければならない、『これはその神、主の声に聞き従わず、その戒めを受けいれなかった国民である。真実はうせ、彼らの口から絶えた。
7:29あなたの髪の毛を切って捨てよ、
裸の山の上に嘆きの声をあげよ。
主が、お怒りになっている世の人を
退け捨てられたからだ』。
7:30主は言われる、ユダの民はわたしの前に悪を行い、わたしの名をもってとなえられる家に、憎むべき者を置いてそこを汚した。7:31またベンヒンノムの谷にあるトペテの高き所を築いて、むすこ娘を火に焼いた。わたしはそれを命じたことはなく、またそのようなことを考えたこともなかった。7:32主は言われる、それゆえに見よ、その所をトペテ、またはベンヒンノムの谷と呼ばないで、ほふりの谷と呼ぶ日が来る。それはほかに場所がないので、トペテに葬るからである。7:33この民の死体は空の鳥と地の獣の食物となり、これを追い払う者もない。7:34そのときわたしはユダの町々とエルサレムのちまたに、喜びの声、楽しみの声、花婿の声、花嫁の声を絶やす。この地は荒れ果てるからである。

第8章

8:1主は言われる、その時ユダの王たちの骨と、そのつかさたちの骨と、祭司たちの骨と、預言者たちの骨と、エルサレムに住む人々の骨は墓より掘り出されて、8:2彼らの愛し、仕え、従い、求め、また拝んだ、日と月と天の衆群の前にさらされる。その骨は集める者も葬る者もなく、地のおもてに糞土のようになる。8:3この悪しき民のうちの残っている残りの者はみな、わたしが追いやった場所で、生きることよりも死ぬことを願うようになると、万軍の主は言われる。
8:4あなたは彼らに言わなければならない。
主はこう仰せられる、
人は倒れたならば、また起きあがらないであろうか。
離れていったならば、帰ってこないであろうか。
8:5それにどうしてこの民は、
常にそむいて離れていくのか。
彼らは偽りを固くとらえて、
帰ってくることを拒んでいる。
8:6わたしは気をつけて聞いたが、
彼らは正しくは語らなかった。
その悪を悔いて、
『わたしのした事は何か』という者はひとりもない。
彼らはみな戦場に、はせ入る馬のように、
自分のすきな道に向かう。
8:7空のこうのとりでもその時を知り、
山ばとと、つばめと、つるはその来る時を守る。
しかしわが民は主のおきてを知らない。
8:8どうしてあなたがたは、『われわれには知恵がある、
主のおきてがある』と言うことができようか。
見よ、まことに書記の偽りの筆が
これを偽りにしたのだ。
8:9知恵ある者は、はずかしめられ、
あわてふためき、捕えられる。
見よ、彼らは主の言葉を捨てた、
彼らになんの知恵があろうか。
8:10それゆえ、わたしは彼らの妻を他人に与え、
その畑を征服者に与える。
それは彼らが小さい者から大きい者にいたるまで、
みな不正な利をむさぼり、
預言者から祭司にいたるまで、
みな偽りを行っているからである。
8:11彼らは手軽に、わたしの民の傷をいやし、
平安がないのに、『平安、平安』と言っている。
8:12彼らは憎むべきことをして、恥じたであろうか。
すこしも恥ずかしいとは思わず、
また恥じることを知らなかった。
それゆえ彼らは倒れる者と共に倒れる。
わたしが彼らを罰するとき、
彼らは倒れると、主は言われる。
8:13主は言われる、わたしが集めようと思うとき、
ぶどうの木にぶどうはなく、
いちじくの木に、いちじくはなく、
葉さえ、しぼんでいる。
わたしが彼らに与えたものも、
彼らを離れて、うせ去った」。
8:14どうしてわれわれはなす事もなく座しているのか。
集まって、堅固な町にはいり、
そこでわれわれは滅びよう。
われわれが主に罪を犯したので、
われわれの神、主がわれわれを滅ぼそうとして、
毒の水を飲ませられるのだ。
8:15われわれは平安を望んだが、良い事はこなかった。
いやされる時を望んだが、かえって恐怖が来た。
8:16「彼らの馬のいななきはダンから聞えてくる。
彼らの強い馬の声によって全地は震う。
彼らは来て、この地と、ここにあるすべてのもの、
町と、そのうちに住む者とを食い滅ぼす。
8:17見よ、魔法をもってならすことのできない、
へびや、まむしをあなたがたのうちにつかわす。
それはあなたがたをかむ」と主は言われる。
8:18わが嘆きはいやしがたく、
わが心はうちに悩む。
8:19聞け、地の全面から、
わが民の娘の声があがるのを。
「主はシオンにおられないのか、
シオンの王はそのうちにおられないのか」。
「なぜ彼らはその彫像と、
異邦の偶像とをもって、わたしを怒らせたのか」。
8:20「刈入れの時は過ぎ、夏もはや終った、
しかしわれわれはまだ救われない」。
8:21わが民の娘の傷によって、わが心は痛む。
わたしは嘆き、うろたえる。
8:22ギレアデに乳香があるではないか。
その所に医者がいるではないか。
それにどうしてわが民の娘は
いやされることがないのか。


Ⅰテモテ

第5章

5:1老人をとがめてはいけない。むしろ父親に対するように、話してあげなさい。若い男には兄弟に対するように、5:2年とった女には母親に対するように、若い女には、真に純潔な思いをもって、姉妹に対するように、勧告しなさい。
5:3やもめについては、真にたよりのないやもめたちを、よくしてあげなさい。5:4やもめに子か孫かがある場合には、これらの者に、まず自分の家で孝養をつくし、親の恩に報いることを学ばせるべきである。それが、神のみこころにかなうことなのである。5:5真にたよりのない、ひとり暮しのやもめは、望みを神において、日夜、たえず願いと祈とに専心するが、5:6これに反して、みだらな生活をしているやもめは、生けるしかばねにすぎない。5:7これらのことを命じて、彼女たちを非難のない者としなさい。5:8もしある人が、その親族を、ことに自分の家族をかえりみない場合には、その信仰を捨てたことになるのであって、不信者以上にわるい。5:9やもめとして登録さるべき者は、六十歳以下のものではなくて、ひとりの夫の妻であった者、5:10また子女をよく養育し、旅人をもてなし、聖徒の足を洗い、困っている人を助け、種々の善行に努めるなど、そのよいわざでひろく認められている者でなければならない。5:11若いやもめは除外すべきである。彼女たちがキリストにそむいて気ままになると、結婚をしたがるようになり、5:12初めの誓いを無視したという非難を受けねばならないからである。5:13その上、彼女たちはなまけていて、家々を遊び歩くことをおぼえ、なまけるばかりか、むだごとをしゃべって、いたずらに動きまわり、口にしてはならないことを言う。5:14そういうわけだから、若いやもめは結婚して子を産み、家をおさめ、そして、反対者にそしられるすきを作らないようにしてほしい。5:15彼女たちのうちには、サタンのあとを追って道を踏みはずした者もある。5:16女の信者が家にやもめを持っている場合には、自分でそのやもめの世話をしてあげなさい。教会のやっかいになってはいけない。教会は、真にたよりのないやもめの世話をしなければならない。
5:17よい指導をしている長老、特に宣教と教とのために労している長老は、二倍の尊敬を受けるにふさわしい者である。5:18聖書は、「穀物をこなしている牛に、くつこをかけてはならない」また「働き人がその報酬を受けるのは当然である」と言っている。5:19長老に対する訴訟は、ふたりか三人の証人がない場合には、受理してはならない。5:20罪を犯した者に対しては、ほかの人々も恐れをいだくに至るために、すべての人の前でその罪をとがむべきである。5:21わたしは、神とキリスト・イエスと選ばれた御使たちとの前で、おごそかにあなたに命じる。これらのことを偏見なしに守り、何事についても、不公平な仕方をしてはならない。5:22軽々しく人に手をおいてはならない。また、ほかの人の罪に加わってはいけない。自分をきよく守りなさい。5:23(これからは、水ばかりを飲まないで、胃のため、また、たびたびのいたみを和らげるために、少量のぶどう酒を用いなさい。)5:24ある人の罪は明白であって、すぐ裁判にかけられるが、ほかの人の罪は、あとになってわかって来る。5:25それと同じく、良いわざもすぐ明らかになり、そうならない場合でも、隠れていることはあり得ない。


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